本打ち式掛時計 分解掃除 ボンボン時計 その1

先日お預かりしたこの時計。
本打ち式という掛け時計です。

分解掃除・観察

中身の機械を出していきます
以前紹介したホールクロックとは違い機械へのアクセスはとっても簡単
文字盤を外せばご対面です

ゼンマイのトルクが残っていますから針金で固定して解放

固定用の専用金具もありますが針金が一番融通が利いていいです

さて観察します


かなり汚れています、このままでは状態が不明ですからこのまま仮洗浄します

摩耗したほぞ穴の修理


ほぞ穴 軸受けの部分がかなり摩耗しています 重症です

ここで完全に分解して両面から状態をさらに観察

複数個所の穴が摩耗しています
力が正確に伝わらず止まりの原因となります
摩耗している方向をチェックします

カシメ部分です、通常は外すと緩みの原因となるので外さずに洗浄注油しますが感触がおかしい…
遊びが大きすぎるので摩耗しています 分解します

タガネで穴をつぶし整形する

摩耗した穴を修正します

たがねで穴をつぶして整形します

ブッシング

重症な穴はこの方法では間に合わないのでブッシングという方法をとります
穴を大きく広げて新しい穴部品をカシメる修理方法です
いろんなサイズを作り置きしています

穴の径を合わせて打ち込みます

色が違います。これはベリリウム銅という合金で作られています
これの加工した粉塵を吸うと猛毒です、取扱注意
でも削ったりしない限りは全く問題ありませんからご安心ください
強い毒性ですが機械的には大変優れた特性を持っています新品の状態よりも改良されました

注油・組み上げ

ほかに問題はなさそうなのでもう一度洗浄して注油しながら組み上げして…

完成!

ではありません
ここから組み付け調整が待っています

が長くなってきたので分けますね
もう少しお付き合いください