FRANCK MULLER オートクオーツ 自動巻き発電の分解掃除

フランクミュラーのaccurotor オートクオーツの時計をお預かりしました。
振ったり手で巻いたりしてやれば動くけどすぐ止まる、ということです。
分解掃除と部品交換を行いました。

オートクオーツってなに?

突然オートクオーツといわれても…?という方のために。

腕時計は駆動方式や一秒の制御の仕方によって種類が分けられます。

まずゼンマイ駆動する機械式時計の1秒の基準はテンプの振動です。最近は4ヘルツが一般的です。

高精度を実現するためにテンプの代わりに水晶を使い、テンプの振動数をはるかにしのぐ32,768ヘルツを基準にして高い精度を生み出すクオーツ腕時計。

そんなクオーツ時計をゼンマイの力、時計の装着時に腕を振る力で動かせないかと開発されたのが自動巻発電時計です。

自動巻き発電

原理はこんな感じです。

自動巻と同じ機構でゼンマイを巻き上げ。

ゼンマイに蓄えられた力を使ってジェネレータを動かして発電。

発電された電気を蓄電池に蓄えてクオーツ時計を動かす

なんだか二度手間な気がしますが日常生活の腕の動きで電気を作り出すというのが面白いですね。
セイコーのキネティック・AGSが有名ですがスイスでもオートクオーツという名称で設計、発売されました。

Franck Muller calibre.2000A

前置きが長くなりましたがそんなオートクオーツを搭載したFRANCK MULLERの腕時計です。

オメガやティソなども同じムーブメントを搭載した時計が出ています。

すぐ止まる不具合、二次電池が寿命なだけならいいのですが…。
見ていきましょう。

分解

分解していきます。
まず自動巻機構を取り外したところ、見ての通りほとんど回路です。

二次電池が搭載されています。
電池交換するには回路も外す必要があります。

分解せずに電池だけ交換できないのは二次電池を交換する必要があるほど使ったら分解掃除もしてくださいねということでしよう。

単体で写真を撮っていませんが赤色丸の部分がジェネレータ、発電機です。

外してありますがこのヨコの部品(黄色丸に入る部品)の内部にゼンマイのようなものも入っています。

電子部品を取り外したところです、とってもシンプル。

歯車、軸受等の機械部品を分解して洗浄します。
洗浄禁止部品がいくつかあります。

注油組み立て、二次電池を新しいものに交換して回路の接点等のクリーニングも行います。

後期型の電池は蓄電容量が大幅に増えて動作時間が大きく伸びています。
各動作電流を調べて基準値以内にあることを確認します。

ランニングテストを行って修理完了です。

無事修理完了しました、が

この手の自動巻発電時計、前述しましたが腕の振りをゼンマイの動力に変換してさらにその動力を電気に、電気から時計の動作に変更しています。
工程が複雑なんです。

複雑な分だけどこか一工程でも不良が出ると正しく動かないのです。
おまけにムーブメントの設計製造元メーカーからは部品が入手難でさらに手に入っても高額です。

物理的な接点不良とかなら手の施し用はあるのですが電気的なものは…。
回路系の故障は交換が前提となるから厄介です。

今回の不具合原因は比較的入手が容易な二次電池のみでした。

分解掃除・二次電池交換 38,000円でした。
※修理進行後に回路等の不具合で見積もり変更や修理不可、ご返却の場合があります。
※※部品金額は時価です。ご相談ください。