本打ち式掛時計 分解掃除 ボンボン時計 その2

本打ち式ボンボン時計
摩耗した穴の補修と組み上げ打ち方の調整まで済ませました
さっそくケースに固定します

振り子の等時性

振り子も取り付けて片振り調整に入ります

1581年にガリレオが発見した振り子の等時性を利用した時計です
ガリレオさんなんとその時に振り子時計の設計までしています
しかし彼の興味は天文学に注がれ設計のみに終わった…らしいです
並外れた天才ではありません 超天才の考えることは50年くらい先を行っているので周りの人がついてこれません
設計図あるなら作ればいいじゃんと思いますが振り子時計がこの世に生み出されたのは1657年
振り子の等時性の発見から70年以上たってからでした

研究が進んだ振り子時計は高精度で動きます
80年代に作られた振り子時計なんかは最近の電池式時計といい勝負します(月一ゼンマイを巻く必要はありますが)

片振り調整

話がそれました
まずケースの垂直を出します こんなインジケーターがついています

振り子の先がケースのインジケータの真ん中に来るようにケースの傾きをなおします

これでまっすぐ

この状態でかけるように時計の片振りを調整します
冒頭から片振りと言っていますが片振りとは振り子のチクタク音のタイミングをそろえることです
「チク」と「タク」の音の間隔を同じにします
振り子に動力を伝える部分をまげて調整します
超がつくリズム音痴の自分にはこのかた振りがわからず苦労しました(涙)
12年前、自信満々に調整して調子見状態、先輩から「お前のコレかたぶってんで」「え???」
懐かしい思い出です
人間できなくても数こなせばなんとかできるようになるものです
今も変わらず音痴ですが時計の片振りはわかりますからご安心ください(笑)

これでやっとで文字板と針がつけられます

振り子の長さの調整

これでほぼ完成なのですがここから時間が正確に合うように振り子の長さを調整していきます
振り子の下のネジを回して調整します
振り子を長くしてやれば遅れます
短くしてやれば進みます
一週間巻なのでこのまま一週間かけて様子を見ながら調整していきます
実測するしかないので時間がかかります
振り子時計の悩ましいところですね

ぼ~ん、ぼ~んと優しい鐘とチクタク時を刻む音はゆったりした空間をつくってくれますね
調整が終わるまでもうしばらくお待たせします

二日にわたってお伝えした振り子時計修理の実際ですがこれにてひとまず完成です
今回は50年ほど前の時計でしたが100年近く前、戦前の時計でもまだまだ修理して使えます
昔の物は修理を前提に作られているので長く使えます
親子4代に渡って使う掛け時計なんて素敵ですよね
昔、家に掛かっていた思い出の時計…直るかな?
などなどございましたらお気軽にご相談ください