振り子時計が止まる? ちょっとした事が原因に

振り子で動く時計が止まる…そんな時はケースが傾いていないか見てください。

掛時計、置き時計、振り子で動く時計には振り子の水平位置があります。
ケースの水平ではなく中身の機械にとっての水平です。

時計のケースを水平に設置した状態で中身の時計、機械が水平である必要があるのです。

ケースをまっすぐにしても止まる時は中身の機械の修理、調整が必要です。
今までまっすぐで動いていたのに止まるようになった…なんていう場合は中身の部品の摩耗や油切れが原因です。

掛時計・置き時計での違い

当たり前ですが掛時計、置き時計の違いは壁に掛けるか、台に置くかです。
大した違いでは無さそうですが、ケース全体で台に固定される置き時計と違い、掛時計は釘一本で壁に固定されることが多いのです。
その不安定さが大きな違いに…。

置き時計の場合

置き時計ならば簡単、平らなところに時計を置いた状態がそのケースの水平です。
あとは振り子の水平が出ているかどうかだけです。
止まるようであれば機械の不調が起きています。

掛時計の場合

掛時計はというとケースは簡単に斜めになります、ほとんどの掛時計が上の部分一箇所だけで固定するようになっていますから指先1つでケースは斜めに…
振り子の水平が取れてもケースが傾いていてはいけません。

そのためにケースを水平に設置するための目安がついています。
振り子の停止状態で振り子の中心が目印の真ん中に来るように設置します。

こんな風にメモリが貼ってあります。

メモリがなくてもこう言った長方形のケースは水平を見やすいですね。

こんなふうに合わせやすい時計ばかりならいいのですが…
そんな甘くない時計をご紹介します。

四角い時計ばかりじゃない

しかし世の中優しい時計ばかりではありません。
長年の使用で曲がったり左右非対称になっていたり…。
まずケースの水平をだすのが一苦労です。

そんな時計をご紹介します。

胴は並行ではない


大型の掛時計です。
合わせやすそうに見えて実は下に行くに従って微妙にすぼまっていく形状なのです。
左右どちらか、片方の線だけで合わせると??な事態に…。
幸い基準らしきとこらに釘跡がありましたのでこれを基準にしました。

もう1つはこちら

まっすぐってなに?

高難度、丸がたくさん掛時計です。

左右対象でもなく上下の丸の位置も微妙に違います。
文字板の歪みもあれば長年の使用でケース自体の歪みも出てきています。

当然水平マークもありません。
振り子の裏に貼ってあるメーカーの紙も真ん中にあるわけではないのがさらに惑わせる原因に。

悩みだすとハマってきます。真っ直ぐって何だろう?まるで哲学のように答えのない迷路に迷い込んでいきます。
そんな時は遠くから全体を見てココ!と決めた箇所で突っ走るしかありません。

この水平を決める作業、言うは易しで何度やっても難しい。
特に非対称ケースは明確な基準がないのでより難しく感じます。

最後に紹介した丸型の時計はお客様と相談して基準マークをつけての納品となりました。
設置するにも一癖ありな昔の時計の紹介でした。