スピードマスター オートマチック シューマッハ
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オメガ スピードマスター オートマチック シューマッハモデル
動かない、ということで分解掃除でお預かりしました
不具合の確認
プラ風防ですのでそれなりにガラスに傷がついています
丸みを帯びた形状が独特な雰囲気を作ってくれるのですが傷のつきやすさは避けては通れない問題です
傷もつきやすいのですがその反面、気軽に磨くことができます
長所と捉えるか短所とするかは使い手次第ですね
裏フタを開けてみました
ネジが一つ無い、秒針規制レバーが外れて飛び出ている
フタは一度も開けてないそうなので超常現象的なことが起きていなければネジが消滅することはありません
時計の中に入り込んで不動の原因を作っているのでしょう
機械の紹介
内部機械を紹介します
世にいう二階建てクロノグラフ、と言われるムーブメントの代表格です
初代オメガの品番だとCAL.1140 ムーブメントの色は金色でした
この第1世代 サビによる不具合が非常に多く、さらにこのクロノグラフの構造上、針飛びという現象がおきやすかったために各地でいろいろと言われています
あまりに不具合が多かったのでしょう
『よくサビる』と評判の部品を対策部品に変えてほとんど同じ設計と構造のCAL.3220という今回の時計のムーブメントに切り替えられました
個人的にはとても好きな機械、構造です
・動力部が完全セパレート式 ・このクロノモジュールをクオーツを動力にしているモデルがある ・高級ブランドにもベースとして採用されている
等々 とっても魅力的です
さらに初期モデルから対策されているだけあってかこのCAL.3310は不具合も比較的少なくとってもいい具合、な気がします
分解掃除
動力部分を外しました
動力時計部分の自動巻きモジュールを外します
全体の写真は撮り忘れています
時計の輪列部分を見ると悪さをしているネジが出てきました
こんなに小さいの??と驚いて貰えると嬉しいのですが腕時計的には標準サイズのネジです
外れても大きめな部品ですので内部に入りきってしまうことは割と珍しいのですが…
それでも時々こうやってうまい具合に中に入り込んで時計を止めてしまうことがあります
動力部の不具合の原因がはっきりしました
残りはクロノモジュールなどの分解掃除です
こちらがクロノグラフモジュールです
クロノモジュールも動力時計部もどちらも分解していきます
クロノモジュールの内部拡大写真です
バネが盛りだくさんですね
ただ抑えるだけの目的でなく絶妙なテンションの組み合わせのもとにクロノグラフを動かしています
ちなみにサビ対策として真ん中の軸に来る部分がベリリウム銅と言われるサビない材質に変更されています
※全部サビないので作ればいいじゃん、と思いますがこのベリリウム銅、加工がとっても難しいのです
歯車の軸にルビーが一つ追加されました、あまりの小ささに公式マニュアルにも無くさないようにとか注意書きがあったような気がします
動力部分に使われている時計はETA2890なのですがゼンマイが普通の2890と違い微妙に厚くなっています
動力部だけ単体で歩度測定するとものすごいパワーで動きます
モジュールを組み合わせて動作確認、針飛びもなく調子よく動いています
バネの強さを調整してある程度は針飛びを抑えられるのですが限界もあります
今回は全く針飛びせずに収まりました
風防の傷も磨いてキレイにしてケーシングして修理完了です