patek philippe その①

天下のパテックフィリップ カラトラバです

フタを開けてみましょう

重症な錆ですね、自動巻きローターを外して全体を見てみましょう

仕上げなどはさすがパテック、綺麗に仕上げられています
前回の修理をした人が角穴車にひっかいた傷を残していますね
あまりよろしくない…

カラトラバ、ドレスウオッチですから防水性が非常に低い
パッキンなし、非防水です
サビるのも仕方がないところはあります

サビているのは機械をケースに固定するためのムーブ抑えと抑えネジ
通常なら動作に問題のないところではありますがサビが育って大きくなりローターに干渉しています
というかローターと一緒にくっついていました(ローターの感触がなかったのでフタを開ける前は手巻きと思っていました)

このサビが取れないことには機械をケースから出すこともできません
ここまでのサビ、ドライバーで削るしかありません
研ぎたてのドライバー、一本つぶして何とか固着を外しました

やっとでお目見えの文字盤の裏側です

香箱の下側の受けがありません、薄さを追求した結果でしょう

香箱の下側を無くすという大胆な設計をされたムーブメント、追い求めた薄さがこちら

写真はローターを外した状態ですがローターがあっても真ん中のでっぱりより高さはありません
ローターつけても500円玉二枚ないくらいの厚みです

ところでこのゼンマイ、香箱下側を大胆に抜いた構造、この薄型へのあくなき挑戦、どこかで見た覚えがあります
ジャガールクルトのウルトラスリム、同じ構造をしていた記憶があります

どこかに撮った写真があったハズ

記憶の答え合わせとこの記事のために昔のカメラを探し出しました

↑ジャガールクルト ウルトラスリム
そっくりですね
機械の設計はなんとなくそのメーカーの色がでます

明確にわかるわけではないのですがアンティークで見えるところに社名の刻印がない時計・機械でも文字盤を外すと思った通りの社名の刻印があったりします
受けの形状だったり、歯車の配置だったり、そういったところが各メーカーのアイデンティティーとなっているのでしょうか?

今回お預かりしたこの機械、すごくジャガールクルトっぽい
調べてみたところやはりジャガールクルトによる設計、製造のムーブのようです
当時から薄型の機械はジャガールクルトの独壇場だったのですね
もちろんまるごと乗せ換えではありません、調速機周りはいじってあるようですね

出所もわかってすっきりしたところで次回は修理に入ります

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