アンソニア ホールクロック1

アンソニア ホールクロック

ひさしぶりにクロックの記事を書く気がします

アンソニアのクロックムーブメント
独特の地板の形状ですね

よくあるアンソニアのムーブメントに見えますが特殊です
こんなムーブメントを作っていたのかと初めて知りました

どのへんが特殊かと言うとこの機械で動かす振り子の長さは約1メートル
振り子の先の球の大きさは直径30㎝はあります
なんとホールクロックのムーブメントなのです

容姿は都合により非公開です

不具合の確認・コハゼなし

では中身を見ていきます


こちらがお預かり時の全体像です
時方、時計側動力のゼンマイが完全開放されています
コハゼ(ゼンマイのラチェット爪)が機能していない
というか消滅している(赤丸部)

ペラ折れ


ペラもちぎれかけていました、写真は外した後です
ペラとは振り子の重心をサイクロイド曲線を描く軌道で運動をさせるためのバネです

これまでの修理形跡から過去の不具合を推測

他の部分も見てみます

前回の修理の跡があります
歯車のスポーク部分が割れたのを補修したようです
カナの部分の補修もしてあります
カシメでは対応しきれずに半田で穴をふさいだようです

この修理の故障原因はおそらくカナのピンが摩耗などで脱落、歯車が外れ急回転
歯車の勢いが乗ってきたところでカナが少し動いて歯車が引っ掛かりスポークに不具合をきたした
これまでに修理をした人、故障の過程など長く使われた時計の歴史を垣間見ることができます

ただこの半田の山盛り具合はちょっと不安
ザラ検査をして不具合があれば修正する必要があります

コハゼ別作

ザラ検査をするにもとりあえず動かなければいけません
修理していきましょう
まずはゼンマイが動かないと話が進まないのでコハゼを修理します
消滅しているので(後でケースの木の隙間から割れたコハゼが見つかりました)別作する必要があります
最悪、板から削り出しかと思いましたがそれっぽい大きさのブランクパーツを発見しました

これを大きさと形状を合わせて削り出します
0から作るのとでは手間が大違い
溝も切り出してとりあえず形はできました

リベットでカシメてゼンマイ周りは修理完了です

これでゼンマイが巻き上げられるようになりました

長編になったのでこちらでいったん区切ります

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