19seiko/19セイコー cal.91** その2

全2部作、19セイコー 第1部:前編はこちら

第2部:後編 始まりはテンシンの組み付けからです

テンプの修理

前回はテンシンの別作ができたところ迄書きました
テンシンが作れたら組付けが必要です

テンシンの組付け


ポンス台を使ってテンワをカシメます

テンシンに対してまっすぐ、水平に取り付けられているか確認します
振れ見を使うのが本来の正しいやり方でしょうが芝田流でもっと簡単な方法で…
振り座をつけずに機械に組み込みます

チリ吹きで回して横からみて振れがなければOKです

綺麗につけれていました、振れ無しです

 

テンワをつけた後はジャコツールを使ってテンシン軸を磨きますが写真を撮っていません
そのうちジャコツールの記事を書こうと計画中です
ジャコツールとはテンシンや歯車の軸を綺麗に磨くための工具です
旋盤だけでキレイに仕上げてしまう人もいるのですがそのテクは持っていませんのでジャコツールを使っています

振り座の取り付け・確認

振れもないようなので振り座を取り付けます

外す前に付けておいたマークに合わせて組み付けます

 

振り座の高さなど問題ないかもう一度機械に組み込みます

綺麗に脱進、振動します いい感じです

テンプの片重り取り

次は片重りをとります
きれいな円になっていても材質自体に重量のムラがあったりで重心がセンターにあるわけではありません
テンプの重量アンバランスを取るこの作業を片重り取りといいます

片重りとりでもこれは静的片重り取りと言われる確認方法です

理屈は簡単です
テンプを自由回転できる状態で平らなところに置いたら重い方が下に来る
重さが均等になっていればどの向きにテンプを置いても回らない
テンワの重量配分が均等になっているかどうか見ます、車のタイヤ交換後のバランス取りと同じですね

振り座をめちゃくちゃな位置につけてしまうととっても手間が増えるのでマークを付けてから外すことを忘れてはいけません

重い部分を削る、または重い方の反対側に錘をつける などの片重り調整を行います
チリ吹きで回転させてみてどの位置でもテンプが止まるようになれば片重りはほぼ取れたと言えます

分解掃除・組みたて

テンシン交換は無事終わりました 分解掃除をします
分解中の写真は…ありません(笑)

洗浄後の組付け

テンプの受け石を外した写真です、なんだかのっぺりして締まらない気がするのは僕だけでしょうか…

ヒゲ持ちの位置を確認しながら大まかな目測をつけてヒゲを取り付けます

組み込むと元気よく動きだしました

歩度測定・調整

片振りを測定すると6.5ms ヒゲをつけて一発目にしては上出来です


片振り調整します
テンプ押さえを取り外してヒゲ玉の割れ目に薄く研いだドライバーを入れて回してやります

なんとラッキー、調整一回で片振りが0.7msまできました

振り角の確認

ところで測定器を見ると振り角は353度、かなり振っていますね
拘束角は不明なのでデフォルトの52度のままですから正確な数字ではありません

しかしどうであれ353度もテンプは振りません
353度も振ったら振り当たりを起こしてまともに動きません

というわけで目視で振り角を測ります
目測で約310度超…微妙なラインです…

ゼンマイのトルクは変動する

ここが手巻き時計のアレなところです
巻き終わりのあるゼンマイのトルク曲線はゼンマイの解けはじめが非常に大きいのです

一番長時間使うトルクの個所で計測する必要があります
だいたいですがゼンマイを限界まで巻いてから30分から60分動かした後に計測します
その状態で計測して目視で振り角は約300度、懐中時計ですしとってもいい感じです

組付け・精度の確認

針をつけてケーシング、その状態でランニングテストに入ります

調子よく動いています、24時間後の精度も測って完成です

前編、後編の2部に渡って投稿しました、長々とお付き合い頂きありがとうございます
さすが世界に誇るセイコーの鉄道時計、高精度が出ますね
これでまだまだ現役で活躍できそうです